23/02/2017
『犬を育てる』
私個人のFacebook記事の琥珀(アンバー)の修行について、新しい生徒さんから「先生、修行とか言って遊んでばっかりじゃないですか」とのご意見を頂戴したので、ここでしっかりとこちらから伝えておこうと思う。
トレーニングというのは「どんな犬になって欲しいか」によって形を変えるものだ。
Cleverでは”アウトドアクラス”というものがあり、ここが私の原点であり目指す所でもある。
アジリティを指導しているならばアジリティを
ドッグダンスを指導しているならばドッグダンスを
服従訓練を指導しているなら服従訓練を
ショーハンドリングを指導しているならドッグショーを
それぞれにそれなりに極めていくのがプロとしての姿勢であると思う。
ただ、私は人の決めたルールに沿って犬を作るのがあまり好きではない。
競技会で表彰台に上がったとしても所詮「人の決めたルール」を「人の物差しでジャッジ」した(された)に過ぎない。
なので私がそれに対して価値を見出せないのだ。
人からの評価なんぞ、どうでも良い。
目の前の犬が笑顔であればそれで良い。
競技会を否定しているわけでは決してないし、私自身、競技会レベルまでのトレーニングは行う。
質の良いオビ練が出来る指導手なら、少々の問題行動が出たとしてもオビをさらうだけで犬達は穏やかさを取り戻す。
オビトレの重要性は『土台作り』の部分で軽視してはならない。
だが、私の最終目標がそことは異なるのだ。
日本という国。
四季があり、海・山・川・湖等の自然に恵まれた国。
この四季を通じて犬達と共に楽しむことを伝えたい。
日本人気質。
人目を気にし、人目をはばかり、忍耐や我慢を美徳とし、真面目でコツコツと・・・な人種。
犬との暮らしにおいて、日本人気質は犬達から見たら厄介なものだろうと常日頃から思う。
表情豊かで感情をストレートに出せる欧米人と違い、読み取るのも難しいだろう。
また、飼い主が忍耐や我慢を美徳としていれば、おのずとそれを犬にも求めるだろう。
そんな飼い主さんに「心の底からの笑顔を犬に向けて欲しい」
そんな思いから、16年前、アウトドアレッスンがスタートした。
そこには都会のルールはない。
その日、その時、大自然の中で何かを共にみつけ、共に感じ、共に出来る事を、共に楽しむだけ。
生徒さんの犬達をアウトドアに引率するにはそれなりの経験が必要となる。
これは私だけでなく、同行する犬にも言える事。
競技を目指す生徒さんがいる所では指導者も競技を行っているだろう。
それが私はアウトドアなだけ。
私が指導するほとんどの犬は「家庭犬」なので、それぞれの家庭によりルールが異なる。
そして多くの飼い主が無意識だが、「家庭」には沢山のルールが存在する。
散歩も数えきれないほどのルールが存在する。
アウトドアにいざ出ると、大抵の犬は「ルール外」と認知しタガが外れる。
逆に警戒本能から飼い主のそばを離れられない子も出てくる。
それが犬本来の姿だし、カタチにはめない中での阿吽の呼吸を培うまではそれなりにお互いの努力も要する。
(ここが土台作りと言っても過言ではない)
Cleverではアウトドアに出たら「コマンドで犬を縛らない」事を意識してもらう。
「つけ」「待て」「来い」「いけない」等のコマンドで縛らずとも、犬達には『見えないリード』が見え、それが『絆』となって行く。
それを伝える(犬語で話す)事を飼い主さんたちに学んでもらっている。
そこで先導する犬だが・・・。
先々代のダンから現役の楓雅まで、しっかりと先導犬の役目を果たしてくれて来た。
琥珀は楓雅の後を継いで欲しい子なので、この『経験』は外せないのだ。
ツアーガイドを思い浮かべて欲しい。
ガイド自身が案内するツアーが初めての経験では、参加者に「楽しさ」は伝えられないし、参加者への気配りも出来ない。
先日のスノートレッキングでも、木に降り積もった雪がバサッと落ちてくる場面があり
経験値の高い楓雅は気にも留めないが、琥珀はびっくりして1Mほど後ろに飛びのいた。
そして「なにこれ?大丈夫なのね?」と楓雅を見、私を見、何事もなかったように先に進む。
楓雅は「これが雪山の楽しささ」とでも言わんばかりに「のどが乾いたらこれ(雪)食えばいいよ」とか「ラッセルする時は背中を使って走るんだぜ」とか伝えているようでもあった。
川訓練も山訓練も、それなりの犬の経験値が犬自身にもゆとりを生む。
ゆとりは同行者への気配りの余裕を生む。
経験値が少ないと、自身がはしゃいで無我夢中のうちに終わってしまう。
だから修行なのだ。
見て、感じて、触れて、楽しむことが修行だ。
経験値を上げる事が修行だ。
私にとってトレーニングは遊びであり、遊びもトレーニングなので一般飼い主さんの言う「遊び」とは大きく異なると思う。
修行も遊び。
遊びの中で楽しく修行する。
寒いのも暑いのも、のどが渇くのも、お腹が減るのも、疲れるのも修行。
頑張った自分を褒め、頑張った犬を褒め、労い、共に長い時間を過ごす。
アウトドアの醍醐味はそこにある。
ただ遊びに行っているんじゃないんですよ。
ショーや競技会を目指している人が遠征したり、練習会に出たり、あちこちに出陳するのと同じなのです。
写真はラッセルを先導する楓雅と追従する琥珀。
コーナー手前で自発的に止まり指示を待つ楓雅とそれを見て学習する琥珀とウォル。