17/01/2019
小笠原ゼミ 症例検討会
① 喉頭部の腫瘤の高齢猫の1例
16歳 ロシアンブルー 鳴き声がかすれる
吸気性喘鳴 呼吸数32回 肺音高調連続音 カフテスト陽性
内視鏡検査にて喉頭麻痺・虚脱を確認→後天性?喉頭腫瘍?甲状腺腫瘍?
鑑別疾患リスト:扁平上皮癌 リンパ腫 骨肉腫 軟骨肉腫
・コメント
腫瘤の細胞診にて、集塊で取れている細胞があり、壊死あり。悪性上皮系腫瘍。
上皮系細胞は核の周りに空胞をもち、扁平上皮へ分化しつつあると考えられる。
扁桃から甲状腺へ転移して転移巣の方が大きくなることもあるので扁桃も要確認(今回は扁桃の腫脹なし)。
②口腔内リンパ腫の猫の1例
1年半前に腎リンパ腫により左腎が7.4×6.0cmに腫大しCOPにより寛解していたが、口腔内に腫瘤を認めた。(オンコビン0.025mg/kg, pre 3mg/kg, エンドキサン50mgを1日開けて2回に分けて)。FNB細胞診でリンパ腫と確信がなく、病理組織検査の為の腫瘤切除をおこなった。
・コメント
FNBで取れて来ているリンパ球は好中球より大きな核を有しており、幼若リンパ球でありリンパ腫と判断すべし。
再発か新たな原発かは過去の腎リンパ腫の細胞診と比較すべし。
腎リンパ腫は脳転移しやすい
アドリアやLアス加えるかは状況次第。
③(経過報告)組織球増殖性疾患と診断された舌および指の腫瘤の猫の1例
組織球のマーカーIBA-1、CD204、CD18の免疫染色結果は陰性であり、組織球増殖性疾患ではなく軟部組織肉腫であると判断した。
④低ナトリウムによる脳神経障害のチワワ
・低ナトリウム性神経障害の概要
高Na血症→脳細胞内脱水、脳出血
低Na血症→脳浮腫
低容積性→(全身状態)CRT延長、ツルゴーツ→(治療)Na補給水分補給
高容積性→(全身状態)浮腫、鬱血→(治療)水分制限
等容積性→(全身状態)なにもない
Naを2mEq/L/Hr で補正 今回は乳酸リンゲル 1ml/kg/hrが良さそうだった
(身体検査所見)呼吸促迫 全身チック 混乱 右半身不随
(シグナルメント)前日に突然飲水過多があった
ベースラインコルチゾール正常→アジゾン否定
鑑別診断:SIADH 、多飲症、てんか
ん、簡単に一過性多飲で水中毒になりうる
一過性に原因不明の腎性尿崩症による低Naもある 水制限試験のタイミング難しい
腎前性高窒素血症をがあれば脱水による低容積性と判断できる
SIADHを動物で診断することは難しく、除外診断。
ファンコーニ症候群 重炭酸が排泄される
尿中のNaとCreはどうやって測定するの?→モノリスの研究用測定で尿中のCreは測れる
・腎臓での尿生成
①糸球体、②近位尿細管、③ループ、④遠位尿細管、⑤集合管
②近位尿最近で多くのH2CO3とGluの再吸収がおこなわれる
③ループ曲では浸透圧性の水の再吸収がおこなわれる
腎臓の浸透圧の調節をしているのはNaとBUN(腎臓髄質のあらいだし)
BUNが低下する(肝不全)と髄質の洗い出しをする為の浸透圧の維持が出来なくなりpu/pdに
エチレングリコール、マンニトールは浸透圧を上昇させる(血漿浸透圧の計算とずれる)
④
⑤集合管は体内Naバランスを保つためにアルドステロンによる調節を受ける
アジソンではアルドステロン低下により尿細管でのNa排泄が増加しNaによる浸透圧調節ができなくなりpu/pd
腎性尿崩症はアクアポリン2(バソプレッシンレセプター)の異常によりバソプレッシンに反応できなくなっている状態
エンドドキシン(pyo)や高Ca血症でもアクアポリン2の異常がおこりpu/pdとなる
・検査データディスカッション
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20%以下は犬も猫も重度の貧血とし、貧血の鑑別診断に骨髄疾患を加えて考えなければならない
今回は大球性低色素性貧血。
大球性低色素性:再生性貧血、
小球性低色素性:鉄欠乏、門脈体循環シャント(鉄の代謝の問題、膜の異常)、慢性炎症
慢性炎症では機能性鉄欠乏(鉄の利用が落ちている、貯蔵鉄はある)MCVから先に下がってくる
MCVが低い犬種:秋田、しば、土佐、紀州
MCVが高い犬種:プードル
コバラミン欠乏で貧血になることはない?
貧血では、1貧血の程度、2MCVとMCHCで貧血の分類、3再生像の有無を確認する
今回は重度の貧血、大球性低色素性、再生性、球状赤血球:IMHAに関連した貧血
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WBCの考察
今回の症例はリンパ球と好酸球の減少、好中球と単球の増加からストレスパターンを示し、好中球の再生性左方移動がみられる
好中球の左方移動には2種類ある(再生性左方移動と変性左方移動)
(ストレスパターンで左方移動が起こることはない)
変性性左方移動と再生性左方移動の違いは分葉核好中球とBandの量を比較する
分葉核好中球の方が多いと再生性左方移動、Bandの方が多いと変性性左方移動
好中球の中毒性変化とは、好中球の欠陥品が出て来ていること(デーレ小体、細胞質の好塩基性)
猫は先に中毒性変化が出て来やすい
犬は先に左方移動の方が出やすい
エンドトキシンで中毒性変化が出やすい(非感染性でもでてくるけど)
好中球の左方移動は炎症を示唆しており、変性性左方移動があれば敗血症に陥っている可能性大
すべての敗血症が変性性左方移動を起こしている訳ではない
ストレスパターンの原因はステロイド投与と貧血
この症例の炎症はどこから?→IMHAから。自己免疫疾患は自己を排除しようと炎症が起きる。
血小板の考察
血小板の減少は免疫介在性の破壊(エバンス症候群)と、DICによる消費が考えられる。
臨床的に血小板数が88000だけで出血傾向を示さないので、出血傾向があるのであれば今回の血小板のDICによるものかもしれない。
今回の症例はすでにコルチコステロイドが投与されているので一概には言えないが免疫介在性血小板減少症であればもっと少なくなるはず。
電解質の考察
すべて正常範囲内ではあるが、Naが正常範囲の下限ギリギリであるのに対してClが正常範囲の上限の数値を示している。通常、NaとClは連動して変化するので NaとClのバランスが崩れていると判断でき、代謝性アシドーシスに陥っていると考えられる。
電解質の見方
NaとClのバランスに注目。NaとClは一緒に変動する。
Naの方がたくさん下がっている:代謝性アシドーシス?
HCO喪失性代謝性アシドーシス:高クロール 腎臓性 嘔吐 下痢
ガス測定がなくても NaとClのバランスで予測できる
腎パネ正常で等張尿である場合:この症例はグルココルチコイドによる多飲多尿かもしれない。水和状態で腎機能を推測し、必要であればSDMAを測定しても
ALT、ALP の上昇→肝細胞障害 この症例は貧血による低酸素性の肝障害、ステロイド性肝酵素上昇、胆汁鬱滞からの肝障害が考えられる
BiLの上昇 肝臓性 肝臓前性:溶血性黄疸(肝前性)だけでTBiL値が3を超えることはない
今回の症例は胆汁鬱滞や胆管障害も疑われる
次回もご参加お待ちしております!